私的・映画の黄金時代 第1回【垂水保貴】

私的・映画の黄金時代  第1回     垂水 保貴(映画研究家)

1961年生まれの私は、1977年4月大分市の高校入学後本格的に映画を観始め、大学進学のため上京した1980年4月から1986年3月の卒業までに(回り道や寄り道をしたもので…)これまでの生涯で最も多く映画を観た。最高で年500本超の映画を鑑賞したが、配信やDVDどころかビデオも一般的には普及しておらず、映画を観るのは映画館等に限られていた時代のことだ。

この9年間、洋画では「スターウォーズ」「エイリアン」等の今も続く人気シリーズや多くの大作・話題作・名作が生まれ、邦画ではキネ旬「オールタイムベスト(2009年選出)」の9位と鋮位にランクされた「太陽を盗んだ男」「家族ゲーム」の他、「幸せの黄色いハンカチ」「影武者」などの名作が公開された。映画館も街ごとに在る名画座がユニークな特集を競い(神保町シアター級の有難い映画館が都内至るところにあったのだ!)、オールナイト特集上映等も盛んで、シネコンではない超大型映画館やミニシアターなどバラエティに富んだ舞台がそろっていた。上京後は「ぴあ」や「シティロード」を片手に映画館をハシゴし、合間に神保町古書店街でキネ旬のバックナンバーや映画パンフレットを漁る日常だった。今振り返ると私にとってはこの9年間が「映画の黄金時代」だったと思う。

小欄では、この「私的・映画黄金時代」の作品を個人的な想い出も含めて取り上げていきたい。本好きの方には映画好きの方も多いと推察されるので、もしよろしければお付き合いください。まず初回は「ロッキー」(1977年4月日本公開)。全く無名だったシルベスター・スタローンの出世作で、その後シリーズ化されスピンオフの「クリード」シリーズも含めると全9作が大ヒット。作品の評価でも米アカデミー賞作品賞等を受賞、日本ではキネ旬ベストワンに輝いた。

高校入学後、学生寮に入っていた私は、寮の友人と生涯初のオールナイト上映で鑑賞した(当時封切館の多くは土曜にオールナイト上映を実施していた。高校生が入場するのは問題だが…)。1回観たら帰る予定だったが、2人とも大感動・大興奮で朝まで繰り返し鑑賞した。早朝、熱に浮かされた2人はすっかりロッキーになったつもりで、徐々に明けゆく街角をあのテーマを口ずさみながら全速力で寮まで駆けていった。本当にバカみたいだがそれほどインパクトが強かったのだろう。

イタリア系移民の落ちぶれたボクサーが奮起してチャンピオンに立ち向かうストーリーを軸に、恋人エイドリアンとの純愛の美しさ、そしてフィラデルフィア美術館の階段を駆け上がるシーンなどの躍動感、何よりあの心踊る音楽! 後日オールナイト上映に行ったことが寮監の先生にばれ、こっぴどく叱られたことも今では懐かしい。その後のスタローンはハリウッドのスーパースターまで駆け上ったが、身体・思想共にどんどんマッチョ化し、今ではトランプ大統領のことを「第2のジョージ・ワシントン」と称えるようになってしまった。ああ…。

「ロッキー」のパンフを求めて、アットワンダーをはじめ矢口書店、虔十書林など神保町の各店を探したが発見できず。一緒に探してくれた店員さん曰く、「筋肉系の中高生男子などから「ロッキー」は人気が高い」「今日も売れた」。懸命に路上の段ボールを漁りまくったが、「ハリポタ」とか「タイタニック」とか大ヒット作で巷に溢れてそうなのに、随分高価で、改めて映画パンフレットというジャンルの「古書の奥深さ」を知りました。
「ロッキー」のパンフを求めて、アットワンダーをはじめ矢口書店、虔十書林など神保町の各店を探したが発見できず。一緒に探してくれた店員さん曰く、「筋肉系の中高生男子などから「ロッキー」は人気が高い」「今日も売れた」。懸命に路上の段ボールを漁りまくったが、「ハリポタ」とか「タイタニック」とか大ヒット作で巷に溢れてそうなのに、随分高価で、改めて映画パンフレットというジャンルの「古書の奥深さ」を知りました。

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この記事を書いた人

神田・御茶ノ水・神保町の地域交流サロン誌『本の街』編集部。1980年創刊。毎月10日発行、加盟店を中心に60か所以上で無料配布しています。

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