大林宣彦監督の衝撃作「HOUSE ハウス」【私的・映画の黄金時代 第4回】

私的・映画の黄金時代(4):大林宣彦監督の衝撃作「HOUSE ハウス」    垂水 保貴(映画研究家)

この度、「新 本の街」8月号より、映画研究家である垂水保貴さんの連載「私的・映画の黄金時代」の第4回をお届けします。今回は、多くの映画ファンに今なお愛され続ける大林宣彦監督の劇場映画デビュー作「HOUSE ハウス」に焦点を当てています。


「HOUSE ハウス」の誕生と当時の反響

「HOUSE ハウス」は1977年7月に公開された大林宣彦監督の劇場映画第1作です。公開当時、高校生の間では新人アイドル大場久美子の出演や、池上季実子のヌードといった、映画の内容とは直接関係のない話題が先行していました。しかし、CM出身である大林宣彦監督の初の劇映画ということで、筆者である垂水保貴さんは大きな期待を寄せていたと振り返ります。

この作品は、映画評論家や著名な監督たちからは酷評され、当時の「キネマ旬報日本映画ベストテン」では21位という結果でしたが、読者選出のベストテンでは若い層からの支持を集め、見事4位にランクインしました。このことからも、作品が時代の先端を行き、若者たちの感性を捉えていたことがうかがえます。

新しい時代の映画監督たち

「HOUSE ハウス」が公開された1970年代後半から1980年代初頭にかけては、日本の映画界に大きな変化が訪れた時期でもありました。それまでの映画会社出身の監督が主流だった時代に、大森一樹、石井聰亙(現・岳龍)、森田芳光など、映画会社に属さない新たなタイプの監督が次々と登場しました。大林宣彦監督は、まさにその先駆けの一人だったのです。 (余談として、金子修介監督の「無能助監督日記」が、1978年から1984年までの日活出身監督の視点から描かれた映画界の状況を伝える興味深い作品であると紹介されています。)

時代を超えて評価される作品

公開当初は賛否両論を巻き起こした「HOUSE ハウス」ですが、その評価は時を経て大きく変化しました。21世紀に入ると国内で再上映され、多く観客を動員。さらにアメリカではカルト映画として絶賛されるようになりました。大林宣彦監督は「HOUSE ハウス」以降も精力的に活動を続け、その生涯を映画に捧げました。死の直前まで情熱を注ぎ続けたその姿は、多くの人々の記憶に刻まれています。

関連書籍の紹介

大林宣彦監督の作品や思想に触れるための書籍として、以下の作品が挙げられています。

  • 「なぜ若者は老人に席を譲らなくなったのか」(2008年 幻冬舎新書):タイトルからは若者批判と捉えられがちですが、未来を担う世代に前向きなエールを送る内容で、監督の人生観を垣間見ることができます。

  • 監督の数ある著書の中でも決定版的な一冊には、著名人による「私の好きな大林映画」が収録されています。


「HOUSE ハウス」は、単なるホラー映画としてだけでなく、当時の時代背景や映画界の変革、そして大林宣彦監督の独創的な世界観を色濃く反映した作品と言えるでしょう。垂水保貴さんの記事を通して、改めてこの名作の奥深さを感じていただけたのではないでしょうか。

▶ 連載「私的・映画の黄金時代」のほかの回は連載一覧から

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この記事を書いた人

神田・御茶ノ水・神保町の地域交流サロン誌『本の街』編集部。1980年創刊。毎月10日発行、加盟店を中心に60か所以上で無料配布しています。

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