地域交流サロン 神田 御茶ノ水 神保町 「本の街」12月号 Vol.8
月刊「新 本の街」2025年12月号 目次 🎄
発行情報: DECEMBER 2025 No.8 / 12月号 No.8
発行日: 令和 7 年 11 月 10 日発行
題字: 髙橋 古都
作品: 武沢 昌子 「くるみ割り人形 マーチ」 (S0 油彩)
デザイン: 清水 龍太郎
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【巻頭/連載記事】
シャイロックをポリコレで読み解くと(古典との邂逅 ②) / 長谷部 恭男 (早稲田大学教授・憲法学)
概要: シェイクスピア『ヴェニスの商人』の結末を現代的な「政治的正しさ(ポリコレ)」の視点で考察する 。ポーシャが法と正義を厳格に解釈し、シャイロックにアントーニオの肉1ポンドのみを許し、血を一滴でも流せば財産没収と告げる場面を詳述 。また、シャイロックへのキリスト教改宗の強要を、現代の感覚では「傲慢な信教の自由の侵害」であると指摘している 。さらに、ポーシャ自身の差別的な言動についても、当時の観客の「肌感覚」として分析している 。
わたしの古本修行 (5) / 四方田 犬彦 (比較文学)
概要: 古書収集家の三段階(書豚、書痴、書狼)についての解説から始まる 。特に「書狼」は、世界に一冊しかない稀覯本の所有者となるために、もう一冊を焼却するほどの狂気を持つ者とされる 。大学院時代の恩師で、19世紀英文学の稀書蒐集家であったU教授との思い出を回想 。教授が語った「カルカッタの古本屋には植民地時代の初版本が眠る宝の山がある」という壮大な計画や、パイプの煙で燻された膨大な蔵書のエピソードを綴っている 。
国際歴史探偵の書斎から (2) / 加藤 哲郎 (一橋大学名誉教授・政治学)
概要: 松本清張『球形の荒野』に登場する外交官・野上顕一郎のモデルの謎に迫る 。筆者は、1943年にスウェーデンへ亡命した農学者・崎村茂樹が新たなモデル候補である可能性を提示 。清張が崎村を直接知っていた可能性は低いものの、崎村と親交があり、戦後「東京妻」と噂された三菱財閥令嬢・荒木光子への清張の注目を通じて、情報が繋がっていた可能性を考察している 。
神保町と私 (7) 徳萬殿 / 佐古田 亮介 (けやき書店)
概要: すずらん通りにあった「そば 寿々㐂屋(すずきや)」と、神保町1丁目にあった中華料理店「徳萬殿」の思い出 。一誠堂書店員時代、短い昼休憩の中で「寿々㐂屋」への出前をめぐり起きた騒動を述懐 。また、2015年に閉店した「徳萬殿」の驚異的な大盛りメニューや、厨房の調理順序を逆手に取った「前の客と同じものを注文する」という独自の注文術を紹介している 。
新たな扉 「晋さんのこひつじ文庫」 / さかもと 直子 (アトリエ・フローラルメランジェ)
概要: 2003年に神田猿楽町で花の仕事をスタートさせた経緯を回顧 。タイ料理店「メナムのほとり」や立ち飲みの「明治屋3rd」など、神保町界隈の店舗との交流を綴る 。2025年、すずらん通りのシェア型書店「パサージュ」内に、念願の自分の棚「晋さんのこひつじ文庫」を出店した新たな門出を報告している 。
新・気まぐれ美術(史)誌 (8) 泰次郎と洋二郎 / 後藤 洋明
概要: 小説家・田村泰次郎と画家・島村洋二郎の交流を軸とした連載 。筆者が18歳の時に一冊の本との出会いから田村泰次郎が設立した「現代画廊」を訪れた体験を語る 。戦後の寵児となった田村が島村洋二郎から絵画を購入し、それが島村夫妻の花屋開業の元手になったという小説『残された肖像』の背景や、二人の濃密な友情について考察している 。
島村洋二郎の絵をさがして (3) / 島村 直子
概要: 島村洋二郎のクレパス画《猫と少年》をめぐるエピソード 。1956年の遺作展でピアニストの安川加壽子がこの絵に見入っていた光景や、没後50年展に際して岡本謙次郎邸の倉庫から作品が奇跡的に発見された経緯を記述 。本作が多くの人々の心を掴み、『眼の光』の表紙を飾るに至った歴史を綴っている 。
坂を下れば / 佐藤 恭介 (図書出版 花伝社 編集部長)
概要: 東京の「坂」が持つ、日常の表情を切り替える装置としての魅力について考察 。90年代後半、大学生活に馴染めず九段の坂を下って神保町へ通い、CD店ジャニスや古書店街(田村書店、東京堂書店など)を「自分の大学」として過ごした日々を回想 。大江健三郎の座右の書であった『オーデン詩集』を街で探し歩いた思い出や、今年創立40周年を迎えた花伝社での仕事の原点を述べている 。
巨匠ムーティが込めた想い(音の手帖 ③) / 毬沙 琳 (音楽ジャーナリスト)
概要: リッカルド・ムーティ指揮、ヴェルディ『シモン・ボッカネグラ』の鑑賞記 。若手育成プロジェクト「イタリア・オペラ・アカデミー」におけるムーティの「楽譜通りに演奏しなさい」という厳格な教えと、その奥にある音楽の真実を伝える姿勢を詳述 。リハーサルでのユーモア溢れる言動や、一瞬の不謹慎な笑いに対する激怒など、巨匠の素顔と音楽への想いを描いている 。
フォトグラファー ELLIの街探訪 (7) 喫茶穂高 / 伊藤 恵理 (写真と文)
概要: 御茶ノ水駅前で創業70年を迎える喫茶店「穂高」を取材 。店主・粟野芳夫氏が仙台伊達家家臣の子孫であることや、江戸城の鬼門を守るために遷座した太田姫稲荷神社の歴史など、地域の深い物語を紹介 。5種類の豆を独自にブレンドしたコーヒーとトーストの味、そして聖橋を見渡す景観の魅力を称えている 。
「藤沢周平」小伝 (8) 無名時代の短編14編 / 澤田 勝雄
概要: 2006年に確認された、藤沢周平の無名時代の初期短編14編に焦点を当てる 。1960年代、業界紙記者時代に私生活の不幸(妻の死)を乗り越えるべく、「鬱屈した気分を流し込む」ように書かれたこれらの作品群を分析 。名作「帰郷」の原型ともいえる「木曽の旅人」など、後の巨匠への助走期間であったことを綴る 。
ジャズほど素敵な趣味はない! (72) / 飯田 和行 (アマチュアジャズドラマー)
概要: 全国ジャズ店紹介第72回。大阪・梅田の第2ビルで40年以上営業し、今年一杯で閉店する名店(オーナー:山口さん)への惜別記事 。最後の訪問時にかかったニッキ・パロットやジミー・コブのレコードを紹介し、店主への感謝と大阪での思い出を綴っている 。
マーラーとハンプソン(神保町ソプラノ散歩) / 小暮 沙優 (ソプラノ歌手)
概要: 喫茶店「ラドリオ」でウィンナーコーヒーを飲みながら、マーラーの楽譜を開く休日の思索 。9月のNHK交響楽団定期公演でのトマス・ハンプソンの歌唱を通じ、ガザやウクライナで今を生きる子供たちの声に思考を巡らせる 。ヴィクトール・フランクル『夜と霧』の「人生の肯定」というメッセージと、音楽を通じた対話の尊さを綴っている 。
神保町界隈の戦後風景 〈1〉 松本亭 / 大和田 茂 (日本近代文学研究者)
概要: 神田錦町にかつて存在した「松本亭」の女主・松本フミの物語 。彰義隊の生き残りであった父の志を継ぎ、田中正造や幸徳秋水、孫文といった志士たちを支援した「梁山泊」としての歴史を詳述 。警察の検挙に対しても毅然と立ち向かったフミの武勇伝や、戦後の首相・吉田茂の推挙にまつわる舞台裏の逸話を紹介している 。
江戸城とその周縁の初期写真 (75) / 清水 あつし (シェイクスピア・ギャラリー)
概要: 連載第75回。かつての「熊谷守一美術館」のカフェを回想し、偉大な画家の娘・榧さんの人柄を振り返る 。また、スペイン・プラド美術館での教育的な取り組み(幼児連れの見学など)と比較し、日本の公立美術館が「行政のお飾り」のようになり、来館者サービスを軽視している現状を鋭く批判している 。
【その他の情報・広告】
・シェイクスピア・ギャラリー展示: 「欧州名作版画展」 2025年11月20日(木)~12月18日(木)
・ウルトラ怪獣展 「シュワッチ!」: Ammon Tokyoにて11月10日(月)~11月28日(金)開催
・今月の富士山はがき: 山形屋紙店オリジナル。「聖夜富士」「サンタさんと富士」
・山形屋紙店 移転のお知らせ: 神保町三丁目へ新住所を移転
・バンコク日本博 2026: 2026年8月28日〜30日開催予定
・ライブスケジュール: アディロンダックカフェの12月公演情報
・編集後記 (清水 篤): 日本を「アメリカの子会社」になぞらえ、現代の政治情勢をウィットに富んだ視点で考察 。


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